2021年12月「ダービースタリオン」が発売され、「ウマ娘」、「ウイニングポスト9 2021」と競馬ゲームが続けて登場しています。ゲームを通じて、競馬ファンが増えれば、嬉しい限りです。
さて、今回は、20年以上の長くシリーズ化している「ダービースタリオン」シリーズと「ウイニングポスト」シリーズの違いについてお話ししたいと思います。
・どちらも強い競走馬を育てるゲームでしょ?
・両シリーズの違いについて知りたいな。
・初心者でもプレイできますか?
こういった疑問を解消していただければ、幸いです。
ダービースタリオンとウイニングポストは競馬シミュレーションゲーム
ダービースタリオン(通称:ダビスタ)とウイニングポスト(通称:ウイポ)の両シリーズとも競走馬を生産し、育成する競馬シミュレーションゲームです。
中央競馬の大きなレース、いわゆるGⅠレースに勝つために、プレイヤーは、ゲーム内の配合理論を駆使して、競走馬を生産し、育てて、競馬場に送り込むサイクルを繰り返し行っていきます。
繁殖牝馬を購入し、どの種牡馬を組み合わせるかを試行錯誤しながら、実在したディープインパクトをはじめとする競走馬を自ら生産した馬で負かすといったプレイヤーの夢が詰まっているわけです。
このように競馬を舞台として、共通点はあるものの、世界観やゲームシステムが異なっており、どちらが好みかは分かれるところだと思います。
どちらも長年ファンから愛されるシリーズで、面白い競馬シミュレーションゲームですので、ダービースタリオンとウイニングポストの魅力と差異を紹介していきたいと思います。
ちなみに、馬がレースで走るときは、プレイヤーは、何もすることができません。
馬の頑張りを信じるのみ。
プレイヤーができるのは勝利を祈ることくらいです。
ダービースタリオンとウイニングポストの違い
それでは、両シリーズの違いについて触れていきます。
ゲームクリア条件というか、各シリーズの目標は、大まかにいうとこんな感じ。
プレイヤーは競馬における生産者・馬主・調教師を兼ねる立場となり競走馬の生産、調教、出走を繰り返しながらGI競走タイトルの獲得と最強馬の育成を目指す。
競馬関係者(調教師・騎手・他の馬主など)や知人との交流しながら馬主・生産者としての名声を得て、世界一のホースマンを目指す。
ダービースタリオンが、馬を中心にとらえている反面、ウイニングポストは人との交流にも着目している点が異なります。
それでは、詳しく違いなどを確認していきますね。
ゲームプレイヤーの立場
はじめに、プレイヤーの立場が異なります。
ダービースタリオン:生産者・馬主に加え、調教師の役割を兼ねる
ウイニングポスト :生産者・馬主
両シリーズともに競走馬を生産し、所有する馬主・生産者(オーナーブリーダー)という部分は共通です。
(ただし、過去のウイポでは序盤は馬主の立場で、ゲームを進めていくうちにオーナーブリーダーとなる作品もある)
しかし、ダービースタリオンは、さらに調教師の役割も担っており、調教メニューを考え、競走馬を調教して能力を伸ばしていきます。そして、出走するレースを選んでいきます。
一方のウイニングポストは、競走馬を調教師に預けると育成するのは調教師任せとなります。
よって、任せた調教師の能力により馬の成長が変わってきます。
さらに、預けるにはその調教師と知り合い、仲良くなっていることが必要となります。
プレイヤーが介入できるのは出走させるレースの選択のみとなり、実際のオーナーブリーダーと同じような立場でゲームを楽しむことになります。
時間の流れと人間関係
この時間の流れと人間関係の有無の違いが両シリーズの決定的な差異といっても過言ではありません。
時間と人間関係がない分、とことん「僕のつくった最強馬」の育成に励むダビスタ
競馬を通じて様々な人間関係を構築し、世界一のオーナーブリーダーを目指すウイポ
ダービースタリオン:時間・人間関係が固定
ウイニングポスト :時間の流れがあり、さまざまな人間関係が生まれる
ダービースタリオンは、時間の流れがありません。
プレイヤーが所有する馬と繁殖牝馬が加齢するのみで、その他の種牡馬などは固定されています。
調教師をはじめとする登場キャラクターも固定されています。
調教師も牧場で登場キャラクターは、不老不死でゲーム内で何十年経過しようとも、ずっと現役です。
また、出走するライバル馬は、ランダムで登場してきます。
よって、ウオッカとアーモンドアイが同い年でライバル馬として登場することがあります。
一方のウイニングポストでは、プレイヤーの分身である主人公が存在し、その主人公を中心に競馬史に則って年齢を重ねていき、やがては引退し、ゲーム内から去っていきます。
騎手も調教師へ転向したり、そのまま引退したりとさまざまです。
ライバル馬についても当時の年代と同じ形で登場します。
ゲーム上での1998年のクラシック戦線は、当時と同じくスペシャルウィーク、セイウンスカイ、エルコンドルパサー、グラスワンダーで繰り広げることになります。
さすがに、当時の外国産馬のクラシック参戦できないという細かいルールなどは適用されていません。
1998年でもヴィクトリアマイルがあったり、有馬記念の前週がスプリンターズステークスだったという当時のレーシングプログラムは反映していません。
収録レースとファンファーレ
ゲームに収録されるレースも異なります。
また、競馬でのレース発走前に盛り上がるファンファーレについても両者で異なっており、ダービースタリオンでは実際と同じファンファーレとなっており、本馬場入場曲も流れてきます。
ウイニングポストのファンファーレは、ゲームオリジナル仕様となっています。
ダービースタリオン:国内レース、凱旋門賞、ドバイワールドカップ
ウイニングポスト :国内レース、主要各国の重賞レース、地方交流レース
ゲーム内に出走させることができるレース数は圧倒的にウイニングポストが多いです。
日本国内だけでなく、海外の主要各国の重賞(イギリス・フランス・アイルランド・アメリカ・香港などなど)に出走させることができます。
また、東京大賞典などの地方交流レースも収録されているので、ダート馬の活躍の場が用意されています。
それと比較するダービースタリオンでは海外レースは、凱旋門賞とドバイワールドカップのみ。
地方交流レースもないため、ウイニングポストと比べると、少なすぎるという印象が拭いきれません。
ただし、本物と同じファンファーレと本馬場入場曲を使用しているのがダービースタリオンです。
ファンファーレだけでなく、ウイニングポストよりもパドックやレースシーンが実際の競馬中継と同じアングルで作り込まれていますので、リアリティさがあります。
さらに実況がラジオNIKKEI小塚歩アナウンサーと競馬実況の真のプロが行っています。
また、馬券もダービースタリオンでは購入することができるので、よりレースシーンが熱く見守ることになると思います。
ダービースタリオンに向いている人
ひたすら競走馬の生産と調教を繰り返すというシンプルなゲームです。
よって、自分で満足できる「最強馬をつくる」ことが目標となり、とことん追求できるのが強みです。
- 調教までやって育成したい人
- マスクデータが多くても大丈夫な人
- ゲームシステムがシンプルゆえの難しさ
- ブリーダーズカップで他のプレイヤーと対戦したい人
調教まで自分で操作することで、競走馬に対してより愛情を注ぐことができるでしょう。
現実の競馬同様、骨折、屈腱炎での長期離脱に加え、最悪、予後不良など競走馬のアクシデントも起きます。
馬を大事にしたくなる気持ちがより出てきます。
ゲームとは言え、予後不良は、かなりの衝撃を受けますし、結構、堪えます。
一方、ウイニングポストの競走馬はケガをしませんので、そこまでも思い入れを持ちにくいんですよね。
(※厳密に言えば、ケガをするが今まで自分は見たことないです)
また本シリーズは、他のシミュレーションゲームと異なり、馬の競争能力の表示が全くありません。
某プロ野球ゲームのような「ミートAパワーA走力A」といった表示が全くないのです。
プレイヤー自身で牧場長や調教師からのコメントという少ないヒントから想像するしかありません。
面白い試みとしては、馬体をみることで、競走能力を予測できるといったものもありまして、馬それぞれで姿・形が違うのが面白いところ。
お尻が大きければスピードがある、胴体が短ければ短距離向きなど。
ゲーム全体の流れは、とてもシンプル。「強い馬」を作るだけ。
「さあ、お好きに強い馬を作ってください、どうぞ!」と言われ、ゲームスタート同時に2000万円と繁殖牝馬1頭を渡され、放置プレイ。
こんな感じでスタートするので、「ゲームの目標はわかるけど、具体的どうすればいいの?」と思うプレイヤー多数だと思います。
はっきり言って何をしていいのか、わからないプレイヤーが多いと思います。
しかも、競走馬生産に重要な配合理論も「完璧な配合」、「見事な配合」、「面白い配合」などが存在しますが、どういう条件で成立するのかの説明が全くありません。
その効果についても触れられることもない・・・
このような中で、ゲーム序盤は、1勝するのに苦労します。
ケガの発症や凡走を繰り返し、賞金が稼げず、牧場が破産しゲームオーバーも珍しくありません。
結構、不親切かつマゾなゲームと言えると思います。
競馬初心者の方がプレイすると投げ出すかもしれません。
その分、手塩にかけて育てた馬が初めての重賞やGⅠを勝利したときのうれしさは、思わずガッツポーズするくらい、感極まることでしょう。
GⅠレースに勝つのも大変ですが、さらに極みを目指すためには、「ブリーダーズカップ」の存在を忘れてはいけません。
「ブリーダーズカップ」とは、プレイヤー同士が育成した自慢の馬を持ち合って対戦するシステムで、ダビスタシリーズを隆盛させたゲームコンテンツです。
ブリーダーズカップの全国の猛者に勝つために日々、最強馬を目指して育成に励んでみたい方、「余計なシステムなどいらない」とにかく競走馬の育成を突き進みたい方は、ダービースタリオンを手に取ってみてください!
ウイニングポストに向いている人
ダービースタリオンの「最強馬をつくる」というよりも、プレイヤーの手で競馬界を作り上げることがメインになってきます。
自分の好きな血統を育てると言ってもいいかもしれません。
- 過去の競走馬について知りたい
- 海外レースなどの特徴について知りたい
- 自分のオリジナルの競馬の世界をつくりたい
最新作では1984年からプレイすることができるので、その当時活躍した馬を所有して遊ぶことができます。
ミスターシービー、シンボリルドルフの三冠馬などから遊べます。
自分の思い入れのある馬を所有して活躍させて無双させることもできれば、当時の最強馬を倒すためにオリジナルの馬を育成するのもよし、と様々なプレイをすることができます。
さらに、悲劇により残念ながら子孫を残すことはできなかったホクトベガやサイレンススズカといった馬についても、ウイニングポストでは悲劇を回避して彼らの子孫を活躍させるという「競馬のifの世界」を楽しむことができます。
ゲームに登場する実在の競走馬には、「名馬列伝」が搭載されており、どんな経歴を持つ馬かをすぐに確認することができます。
収録されているレースの数に加えて、競走馬についても圧倒的なデータ量を誇っていますから、昔の競走馬について知りたい人にとっても、ゲームを通じてある程度の知識を深めることもできます。
また、競馬界の中での人間関係及びプレイヤーの家族といった人生をシミュレートすることができるのもウイニングポストの特徴です。
シリーズによっては、華やかな登場人物の中からプレイヤーである主人公が結婚相手を選び、そして、子どもが誕生させることができます。
その子どもが大人になって騎手や調教師になることがあります。
子どもが騎手であれば、自分の強い所有馬をあてがうといった贔屓プレイもできます。
ゲーム上でやれることが多く難しく感じますが、様々な登場人物のキャラクターが親切に説明してくれるので、そんなにつまずくことはないと思います。
万が一、聞き漏らしてもチュートリアル機能で振り返ることもできます。
早い時期から重賞級を勝つことができる競走馬を生み出すことができるので、ダービースタリオンシリーズと比較すると正直ゆるいという印象。
ただし、何度も凱旋門賞を制覇できるほどの馬をつくれるほど甘くはなく、難易度を最難度にすればかなり手こずることになります。
よって、競馬初心者は、ウイニングポストシリーズをプレイしてみてはいかがでしょうか。
プレイ目標が多岐に渡って個人的に設定できますから長く遊べると思います。
- 凱旋門賞制覇や全GⅠ制覇
- 登場キャラクターとの結婚(結婚条件が○○のレースを勝つといった仕組みになっている)
- 子孫騎手や子孫調教師をリーディングにする
- 好きな馬の子孫を繁栄させる(系統確立をめざす)
任天堂Switch、PS4、PCといろいろなゲーム機で遊べることも強みですし、毎年、年度版が発売されています。
まとめ
以上、「ダービースタリオン」と「ウイニングポスト」シリーズの違いについてお伝えしました。
最後に僕が個人的におすすめするのは、「ウイニングポスト」シリーズです。
とにかく膨大なデータ量は、シミュレーションゲーム好きにはたまらないものがあります。
こういった方は、過去の競走馬の列伝を眺めているだけで、楽しめてしまうでしょう。
さらに海外レースの豊富さもこのシリーズを没頭させてくれる要素です。
現在の日本馬は、世界の場でたくさん活躍しています。
正直、最新作のダービースタリオンでも凱旋門賞とドバイワールドカップしか搭載されていないのは、物足りないと言わざるを得ません。
また、地方交流レースもないのも残念です。
ただし、ダービースタリオンも自らの手で調教メニューを施し、競走馬を育成する楽しさがありますし、レース・パドック・BGM曲を通じて、実際の競馬場の雰囲気を与えてくれます。
なかなかGⅠを勝つのが難しく、やり応えは、ダービースタリオンの方があると思います。
20数年前には、このシリーズ以外にも競馬ゲームが多く発売されていました。
今やゲーム機でプレイできる競馬ゲームはこのダービースタリオンとウイニングポストがかろうじて残っている現状の中で、両シリーズを楽しんで頂けると嬉しいです。
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